Breast cancer

乳がん健診を識る

内科・乳腺外科・皮膚科
  1. PAGE BACK
  2. HOME
  3. 乳がん健診を識る
  4. 院長が語る〈乳腺疾患の認識の変遷〉

乳がん健診を識る

About breast cancer examination

乳がんを発見するための検査とは、乳がんが無い状態を確認するための検査と同じ

私が医師として働き始めた平成元年頃は、まだ胃癌も大腸がんもガン告知をしない時代でした。そんな時代でも、女性の大事な乳房を切除する乳がんだけは病名を告知をしていたという記憶があります。そしてその頃は乳がんの患者さんは日本ではまだ少なかったのですが、この30年で乳がんはとても増えました。
増えた原因も、確実な予防法も、残念ながら、確立されたものはありません。
しかしこの30年で乳がんに対する常識はどんどん更新されています。手術方法も、治療の仕方も、検診で精査になる基準も数年前に医師に言われた常識は、現在は違っている。ということがあり得ます。
今、正しい情報で、ご自分の乳房に対して、何を注意し、何に対しては、やみくもな不安を抱かなくてもいいのか?知識を新たにしていただければと思います。

乳がんはご自分でしこりを見つけてこられる方が多く、検診で偶然、乳癌が見つかる確率は、実は多くはありません。

では、なぜ乳腺の検査を受けるのか?
マンモグラフィーや乳腺エコーで検査をして頂くことで乳がんを発見できる目的はもちろん乳がんがないことを確認できます。そして、そのご自分の正常な乳房と比べることで異常に気づきやすくなります。正常状態を知らなければ比べることは困難です。ひとりひとり、お顔が違うように、ひとりひとり乳腺も違います。また、同じ人物でも、生理の周期や年齢などによって乳腺の状態も変わります。他人の乳房とは比べられず、他人の体験が自分に当てはまるとも言えません。ご自分のベスト状態の把握は、異変に気づくための指標になります。

乳がん検診で大丈夫と言われた状態は、その後何か月~何年の単位で病気が出ないことを保証するものではありません。

検査と検査の間では乳がんのなかった状態の乳房と、時々、自己触診で比べる、その自己比較が、より早い発見に役立ちます。胃癌や肺がんなど他の癌は自分で見つけることは難しいですが乳がんは自分で発見ができる可能性が高いのです。
ほとんどの乳がん患者さんは、自己触診によりご自分の乳腺にあるしこりを2cm以下の早期の大きさで見つけておられる事実があります。是非、検査を定期的に受けた上での時々の自己触診を含めた乳房に変化がないか観察するブレストアウェアネスを習慣にしてください。

マンモグラフィーと乳腺エコーはどちらも乳癌の特徴を描出する診断能に長けた検査ですがそれぞれに長所、短所があります。

マンモグラフィーと乳腺エコーのどちらか一つの検査でひっかかり精密検査が必要と言われても結果的に乳がんでは無かった偽陽性の方はたくさんいらっしゃいます。
地域の乳がん検診で精密検査必要と言われ、泣きながらご家族と乳腺外来に駆け込んでこられる患者さんがたくさんおられます。
マンモグラフィーと乳腺エコーの両方の検査で総合判定(スライド参照)すればそんな偽陽性の方を約11%減らすことができるといわれています。
また精密検査とは言われなくても乳腺検診の結果に書かれた医学用語、局所的非対称性陰影(FAD)(スライド参照)とか,石灰化(スライド参照)って、どういう意味を持つのだろうと悩んだり(不均一)高濃度乳腺(スライド参照)だからマンモグラフィーで発見しにくかった乳がんの話題についても、インターネットで調べたら余計に心配が増しました。と受診される方が多くなりました。昨今、乳がんについての情報があふれ過ぎ、混乱を招くことも多く不安を抱えてらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。どういうことを心配して、どういうことは心配しなくていいのか?
そんな疑問にもお応えできる診察を目指しています。皆様が「安心しました」と言っていただけるよう、丁寧にご説明いたしします。

乳がんは乳がんとして見逃さないために

癌と一口に言っても、胃癌も子宮がんも肺がんもそれぞれに特徴が異なるように乳がんには乳がんの特徴があります。また乳がんと一口に言っても数種類のタイプがあり、それぞれにまた特徴が異なります。 しこりの大きさだけで乳がんの進行度は語れませんが大きさが 2cmまでの乳がんは一般に早期の大きさと表現されます。自己触診でしこりに気付いて受診していただくことが多いのですが中には触れにくいタイプの乳がんがあります。画像検査では1mmの乳がんを見つけることは今の医学ではまだ無理ですが5mmから1cmのしこり、または病的な特徴を持つ数個の石灰化の集まりがマンモグラフィーや乳腺エコーで描出されたとき良性の特徴が多いのか、乳がんの特徴が多いのか画像の特徴に差が出てきて、診断していくことができます。

そのうえで
更なる検査をしたほうがいいのか?
経過観察をすべきか?
正常の範囲として放置していいのか?
判定していきます。

判定によっては、細胞を採る穿刺細胞診や針生検による組織検査を加えます。また、より精密な検査を受けていただくための病院へ紹介させていただきます。乳がんは乳がんとして見逃さない診察をしていきます。
ちなみに5mm以下のしこりが乳腺エコーで見えることがありますがエコーでは良性のものも全部見えてしまうのが特徴であり癌検診としては偽陽性(結果として癌ではないものを疑ってしまうこと)が多くなる欠点となります。つまり見えてしまったら無いとは言えないため、何らかの病名として記載されますので患者さんが悩んでしまう原因になってしまうのです。5mm以下のものは正常のものも悪性のものも特徴に変化がないことが多いのでそれが消えるものや10年変わらないものである確率が高い事を視野に入れ、経過観察で見てく方法を採択しています。自己触診で急激な増大がないことを時々確認していただくご協力と3か月~1年後の乳腺エコーでのサイズや正常チェックをお願いしています。急激な増大などなければ、3か月から1年で手遅れになるような乳がんが隠れていることはまずあり得ないとお考えください。

どんな検査をどんな間隔で受けていれば安心できるか?

胸にしこりがある患者さんに対し「良性悪性の判定をつけるために、しこりを切除して調べましょう」ということを、以前は多くの医療現場で行っておりました。現在では、画像を含め、診断の技術が進歩したため、できるだけ患者さんのお身体に負担をかけない方法で検査を行って判定できるようになりました。
乳癌には10年かけて癌が発見できる大きさに成長していくものがあります。
かたや半年で急に成長する乳がんもあります。
一般的には10年以上変わらないしこりや、細胞、組織の検査で良性と判定されたしこりが、将来的に癌に変わるという例はほとんどありません。

これらのことから、ご自分の乳腺に今までにはないしこりができていないか時々自己チェックをしていただき、何も異常はなくても、2年に1度は乳腺の画像検査で何もないことを確認なさってください。私見ですが、マンモグラフィーと乳腺エコーはどちらにも長所短所がありますので、毎年両方の検査をお受けいただければ充分ですが、隔年交互に選んで受けていただくと、ちょうど理想的かと思います。
今までにないしこりを発見した時は、検診時期を待たずに受診していただきたいとおもいます。しかしホルモン変化でできたり消えたりするしこりもありますので1-2か月消えないしこりか様子を見てからの受診でも手遅れになることはまずありません。消えるしこりは悪いものではありません。消えない場合がすべて悪性のものとは限りませんが、そういう場合は素人判断せず受診してください。また数多くの方が、乳腺の違和感や痛みを心配して受診されていますが、しこりが無くて痛みから始まる乳がんは、まずありません。もともと乳腺組織は女性ホルモンに影響を受けており、生理周期で張ったり痛いと感じている女性が数多くいます。それが乳腺症という状態ですが、その自覚は生理痛と同じで年代や時期で色々に変化します。乳腺の生理痛みたいなものと思っていただければ、色んなバリエーションがあっても病気ではない事がほとんどだとご理解頂けるでしょうか?
痛みが片方であるとか、いつもの生理周期とは違う時期に痛いからという原因にはそんな乳腺症と、更年期障害、乳腺炎やMondor病などの良性疾患がほとんどです。
ある種の薬剤やサプリ等が脂肪細胞にある女性ホルモンを活性化することもあり閉経後でも、卵巣を手術した方でも、乳腺の生理痛や乳汁分泌のような副反応は起こりえます。

乳腺以外の原因として、肩こり、筋肉痛、神経痛、心臓神経症、逆流性食道炎、胃潰瘍、リウマチ性筋痛症、骨粗鬆症、帯状疱疹の初期(湿疹が後から出現)なども乳腺が痛いような感覚になる事が多いです。

しかし、しこりができて乳腺内を圧迫するように急な増大がある場合も、良性でも悪性でも痛みや圧迫感は感じます。しこりの存在を疑う所見のある場合は、受診して検査をお受けください。 

検査で細胞レベル、組織レベルの精密検査を勧められたとき

乳腺穿刺細胞診とは
採血をするくらいの太さの針で、エコーで見えた乳腺のしこりを穿刺し針の筒の中に細胞を吸い込みます。しこりの細胞の性質を顕微鏡で診てもらうための標本を作り検査会社に検体を送ります。判定には約1週間必要です。(リンパ腺にも同様の検査を行う事もあります。)
(長所)細い針で痛みも少なく良性悪性の判定がでる
(短所)細い針では細胞が少なく判定が出ないことがある

乳腺針生検とは
局所麻酔で痛まないようにしてから少し太い中空の針で径1mmX長さ1cm~2cmのしこりの組織の一部を採取して顕微鏡検査の検体を作ります。2-3本採取して診断を確実にすることが多いです。判定には10日から2週間くらい必要です。

これらの検査結果によってさらに精密検査や治療が必要なときはご希望の病院に紹介いたします。

乳がんの術後の経過観察

乳がんの術後の方で、大きな病院に通うことから、近所のクリニックに転院して、後療法や経過観察を行う事を希望される患者さんのお力になります。
手術をお受けになった病院のドクターと連携を取りながら、後療法の中のホルモン療法は、内服も注射も外来でさせていただけます。
また術後の転移再発検査として、肝臓、肺や脳のCT.全身の骨のシンチグラムなどを定期的に病院で行っていた時代がありましたが現在では転移再発予防としてエビデンスのある推奨検査は、局所の視触診やマンモグラフィーやエコー検査などと言われています。残存乳腺のマンモグラフィーや乳腺と周辺リンパ腺のエコー検査、肺の一般レントゲンや肝臓のエコー、骨のレントゲン検査などは、当クリニックでできる検査です。

乳腺ドッグ健診のご予約はWebから

Webで診察を予約するWebで診察を予約する

Web reservation

PAGE TOP